「花秘める君のメテオール」珠森ベティ先生ロングインタビュー後編

  • 花秘める君のメテオールインタビューバナー後編
  • 珠森ベティ先生が贈る大人気作品「花秘める君のメテオール」。ひたむきでまっすぐな少女と呪いによってすべてを諦めた吸血鬼、ふたりが織りなす切なくも美しい愛と呪いの物語は多くのファンを魅了し、いよいよ5月15日(金)にはコミックス第6巻が発売となる。

    この美しく繊細な世界はいかにして生み出されたのか、前後編におよぶ珠森先生のロングインタビューを通して、その魅力を掘り下げていく。

    取材・文/まいたけ

    エリオスは私の痛みを共有しているキャラクターです

    ―――前回のインタビューでステラとラビについてたくさん話していただきましたが、二人を取り巻くキャラクターたちについても伺えますか?

    珠森ベティ先生(以下、珠森)どのキャラクターたちも、自分の中に存在する物語を掘り起こした時に浮かんだキャラクター性やデザインそのままです。ただ、デザイン的にオスカーは少し苦戦したかもしれません。前作に登場した部長もなんですけど、黒髪男子が少し苦手みたいです(苦笑)。

    ――ステラとラビに今後特に深くかかわっていきそうなエリオス。彼についてはいかがでしょうか?

    珠森エリオスもデザイン自体は自分の中にいるイメージがストンと出てきましたが、じつは彼の内面を理解するのにはかなり苦戦しました。3巻くらいまで、彼の心の奥深いところが見えてこなくて。表面的な空っぽな理由ではなくその奥にあるものを理解できないと、完全に彼自身を伝えることが難しくなるので。でも最近それが紐解けて、エリオスも私と近いキャラクターなんだとわかりました。ステラは私と信念を共有していますが、エリオスは多分私と痛みを共有しているんです。今では彼の感情がよく理解できていると感じています。

    ――今後彼がどうなっていくのか、いち読者として非常に気になっています。

    珠森前回お話ししたように本作は“自分の道を選択する”というのがテーマになっていて、ステラは選択し続ける子でラビは選択肢がない子、そしてエリオスは選択を他者に任せている子です。エリオスは壊れてしまった自分の心を見て見ぬフリをしていて、ステラがそこに踏み込んでいってしまうんですね。それによってエリオスは今不安定な状態になっていますが、この先、彼も自分と向き合うことになる。私も常に考えているのですが、誰かを完全に救うということはきっと不可能で、その人が受けた傷の痛みや深さはその人にしかわからない。結局人生は、痛みも受ける覚悟が必要なんですよね。だからこそ、ステラはラビやエリオスたちを完全に救うことはできないと私は思っています。でも、最終的にはそれぞれが自分の道を自らが選択しなければいけない中で、ステラは彼らの痛みを和らげる光になることはできます。ラビを絡めてエリオスの中に生まれる恋慕の感情も注目していただければと思います。

    「花秘める君のメテオール」コミック画像

    “太陽の君”と呼ばれるエリオス王太子。他者が望むままに施しを与える彼の心は空虚で、ステラはそれを指摘してしまう。エリオス自身が目を背けていた心の傷が、ステラによって刺激され……。

    ――ほかに今後注目してほしいキャラクターがいれば、ぜひ教えてください。

    珠森一人はフィンです。フィンはラビとは対比のキャラクターで、第2章では二人がぶつかり合ったり、フィンとの関わりによってラビが前に進むきっかけになったりもします。テーマでいうとフィンは過去の選択を悔やんでいる子で、ずっと苦しみ、恨んでいる状況にあります。フィンもまたステラやラビと関わることで、自分自身と対峙します。この子も終盤必要なキャラクターとなりますので、今後の展開を楽しみにしていただければ幸いです。ステラやラビ、エリオス、フィン、そして今後キーとなるキャラも登場を控えていますが、皆“生きている人間”として描いてあげたいというのが、私の決意です。

    「花秘める君のメテオール」コミック画像

    フィンはラビの対比のキャラクターとして描かれており、自らの過去の選択を憎み続けているという。果たしてフィンは今後、ステラとラビにどのように関わっていくのだろうか。

    「花秘める君のメテオール」コミック画像

    重要人物の一人、謎多き女性。彼女は自分の願いを叶えるためにすべてを巻き込んでしまっている。星がモチーフのステラに対し彼女は月がモチーフとなっており、ステラは小さな星の輝きで月の光に立ち向かっていくことになる。

    ――先生の描く物語はキャラクターたちがそれぞれの意志や感情を基に動いていて、生きているというのが感じられます。

    珠森私はキャラクターの価値観や考え方、信念を大切にしてあげたいと思っていて。だからそのように感じていただけているのだとしたら、本当に嬉しいです。脇役ともいえるジゼルとピュセルも同じで、皆が生きていて物語の中でそれぞれが役割を持っています。この二人は後半の展開で、ある重要な役割を担うことになるので楽しみにしていてください。

    「花秘める君のメテオール」コミック画像

    ステラの大切な友人として、彼女とラビを見守るジゼルとピュセル。二人にしかできない役割とは……?

  • お洋服やアクセサリーは、私からステラたちへの贈り物です

    ――ステラとラビの関係性は本当にゆっくりと丁寧に描かれていますが、二人のシーンを描くときに大切にしていることは何でしょうか?

    珠森彼女たちの感情の流れに合わせて描き、無理に早めないように寄り添うということを大切にしています。でも、読者さんに飽きがこないように試行錯誤もしています。そして、彼女たちの言動をそのまま受け取らずに、深く考えることを大切にしています。キャラクターが発する言葉の奥深くにある思いや意図を感じ取ってあげたいんです。前回お話ししたように、私が理解してあげないと読者の皆さんに彼らの思いが届けられないので、諦めずに彼らとしっかり向き合って、より良い形で表現していければと思っています。

    ――これまで描いてきたなかで、思い入れが深いシーンや筆が乗ったシーンはどこでしょうか?

    珠森ラビが初めて外出する13話もなのですが、20話で二人が初めてキスをするシーンも大好きで。あのシーンは読者の皆さんに「こんな綺麗なキスは見たことがない」と思ってもらえたらいいなと、すごくこだわりを持って創りあげたのを覚えています。あとはやはり、何度かお話に上がっている32話と33話。この二つのエピソードは「花メテ」の本質を凝縮したようなお話なので、私にとっては特別なものになっています。あとは官能的なシーンなんかは、「どうしたら雰囲気を出せるかな?」と試行錯誤したので思い出深いです。

    「花秘める君のメテオール」コミック画像

    13話より、二人の初めての外出シーン。ラビにかけられた呪いと彼の背負ってきた苦しみを知ったステラは、ラビに自分が持つ愛のすべてを捧げたいと願う。

    「花秘める君のメテオール」コミック画像

    20話より、二人の初めてのキスシーン。エリオスの登場で嫉妬心を募らせたラビが、ステラの唇を奪う。そんなラビをステラは受け止め、星空の下、二人はロマンティックな口づけを交わす。

    ――画作りの面で苦戦したシーンを挙げるとしたらどこでしょうか?

    珠森正直どのシーンも大変です! でもキャラの感情をより伝えたいと思う場面や、1ページ全体を使ったシーンや大コマなどは特にそうですね。眉毛が数ミリ変わるだけで全然表情が違って見えますし……。より魅力的に伝えるには、どのように演出を繋げていくべきかを考えたりしています。コマ割りはもちろん、カメラの角度やトーンの微妙な温度感も全部が影響するので、妥協せずに描いています。

    ――単行本化の際に加筆修正されている部分も多いですよね。

    珠森配信当初のものよりブラッシュアップしたいなと思い、細かな修正やセリフも微妙なニュアンスを調整したりしていますし、単行本では数ページ追加していることもあります。単行本のほうがより、本当に伝えたいニュアンスになっているんじゃないかなと。

    • 花秘める君のメテオール第6巻書影

      花秘める君のメテオール第6巻書影

    • 花秘める君のメテオール第6巻書影ラフ

      花秘める君のメテオール第6巻書影ラフ

    ――4月16日(木)からは「花秘める君のメテオール展2026」が開催されています。本イベントの描き下ろしイラストのこだわりポイントがあれば教えてください。

    珠森イベントだとグッズも豊富に登場するので、ファンの方々に集めたいと思っていただけるようなイラストを描きたいと思っていて。今回はバレリーナのステラがラビに抱っこされているイラストを描きました。いつもステラを軽々抱っこするラビ、いいでしょう♪

    イベントビジュアル完成品

    イベントビジュアル完成品

    イベントビジュアルラフ

    イベントビジュアルラフ

    ――今回の展示イベントでは、ラビの描き下ろしイラスト6種を使用したアイテムも登場しますね。

    珠森ラビの描き下ろしイラストは薔薇をモチーフにしていて、王子様っぽかったりダークチックだったりと、いろいろな表情のラビを描けて楽しかったです! あとはアニメイトカフェグラッテさんともコラボしていて、こちらではお姫様と王子様をモチーフにしたイラストを描き下ろさせていただきました。今後も読者の皆さんに喜んでいただけるアイテムを作りたいと思っています。

    ラビグッズのビジュアル1

    ラビグッズのビジュアル1

    ラビグッズのビジュアル2

    ラビグッズのビジュアル2

    グラッテのビジュアル

    グラッテのビジュアル

    ――描き下ろしイラストはどれもお洋服が素敵で。本編でもステラはいろいろなお洋服を着ていますよね。

    珠森お洋服やアクセサリーは、私からステラやラビたちへの贈り物みたいな感覚です。私はキャラクターたちの気持ちはわかりますが、彼女たちと実際に対話することはできないじゃないですか。本当は会って話して触ってみたいのですが。私はステラたちを知っているけど、あの子たちは私の存在を知らないので。その中で、私がデザインしたお洋服を来てもらえるとまるで繋がっているように感じるのです。直接関われているようで、私はそれがとても嬉しいです。

  • この作品が皆さんの道を照らす小さな光になれたなら

    ――改めて、これまで作品を愛してくださったファンの皆さんにお伝えしたいことは?

    珠森応援してくださっている皆さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。一時期とても辛いことがあって傷ついていた時に、自分にとって、世の中の不条理な残酷さを実感することがあって……。わかっていたことではあったけれど、自ら実感したことで落胆し、抉られ続けた心と向き合うことは苦しくて……。そんな時に皆さんの言葉が私の心を支えてくださって、私は世の中の残酷さと同時に、世の中の美しさも感じました。私はそれが本当に嬉しく救いだったのです。だから私は皆様に感謝の念が尽きません。それは辛い時期に限らず、毎日です。この作品は私にとって、私であり子どもであり恋人でもあります。かけがえのないものなのです。そんなかけがえのない作品を愛でて大切にしてくださる皆さんにちゃんと恩返しをしたいのにという歯痒さを感じながら、私自身、皆さんに何ができるかをよく思案しています。でもそういう考えもある意味高慢かなという思いもあり、ただ私にできるのは常に感謝を伝えることと、好きでいてくれる漫画をお届けすることなのだろうなと思います。私の思いは作品に込めてお届けします。

    私は日々“自分の道は自分で歩いていく”と考えていて、それはこの作品のテーマにもなっていますが、進むというのは時に苦しみを伴うこともあります。でも私が皆さんの言葉に救われたように、この作品が、誰かの小さな支えになればいいなと願っています。もちろん、大きな苦しみや悲しみには効かないかもしれないけど、この作品を見て大丈夫かもって、少しでも支えになれたなら……。そう願いを込めて描いています。それはきっとこの作品が完結したときに初めて完成するんです。星が輝くのは、そこが夜空だから。小さな光を大きな輝きとして見せたいなら、暗闇もしっかり描かなければなりません。それは誰かの傷に触れてしまう行為かもしれない、少し怖いけど、漫画が届く先に皆さんがいることを意識して私なりに誠実に描いていきたいです。

    だから必ず、ステラに込めた気持ちを忘れず、感謝を言葉にし、他者へのリスペクトの気持ちを胸に、責任をもってこの作品を描いていくことをお約束します。いつも毎日、本当にありがとうございます。

    ただ、ひとつ皆さんにお伝えしたいのが、このインタビューでお話しさせていただいたように私は「花メテ」にいろいろなメッセージや思いを込めていますが、読者の皆さんがそれらすべてを受け止める必要はないということです。この作品を読んで抱いた気持ちや感情を、そのまま大切にしていただければと思います。

    これからも「花秘める君のメテオール」、そしてステラとラビの物語を見守っていただければ幸いです。ありがとうございました。

    ステラとラビの印象的なカット

    ステラとラビの印象的なカット

  • 最新コミックス第6巻が5月15日(金)に発売!

    花秘める君のメテオール第6巻書影

    「狼殺し」の異名を持つ謎の男・フィンに導かれ、シャルルフェローへと向かう一行。その一方でステラは、ラビの甘やかな熱に日増しに彼への恋心を募らせていく。この気持ちを伝えることができたら、そのあとは――…。期待と不安に胸を膨らませながらも、ついにラビに想いを打ち明けようと決意をするが……?

  • イベント「花秘める君のメテオール展2026」が4月16日(木)より開催決定!

    4月16日(木)~5月11日(月)の期間限定で、アニメイト池袋本店 3階わくわくスペースにて「花秘める君のメテオール展2026」が開催。本イベントではさまざまな展示が用意されているほか、描きおろしイラストを使用したグッズが多数登場する。ぜひ足を運んで、「花メテ」の世界を楽しんでほしい。

    • 「花秘める君のメテオール展2026」 開催
    • 開催期間

      2026年4月16日(木)~5月11日(月)

      開催場所

      アニメイト池袋本店 3Fわくわくスペース

    アニメイトGratte第三弾 開催決定!

    • アニメイトGratte第三弾 開催決定!!
    • Gratte第三弾 メニュー
    • Gratte第三弾 プリントクッキー
    • Gratte第三弾 トレーディングカード アクリルスタンド
    • 開催期間

      2026年4月16日(木)~6月14日(日)

      ラテ・クッキー 販売店舗

      アニメイト池袋本店、秋葉原ANNEX、横浜ビブレ、名古屋、大阪日本橋、岡山

      ラテ・クッキー・アイス 販売店舗

      アニメイト渋谷、吉祥寺パルコ、仙台、梅田

    「花秘める君のメテオール」展2026&「花秘める君のメテオール」グラッテ第三弾&第6巻新刊発売記念連動キャンペーン

    「花秘める君のメテオール 6巻」の発売を記念して【花秘める君のメテオール展2026 in アニメイト池袋本店3F わくわくスペース】【花秘める君のメテオール グラッテ第三弾】の開催が決定!開催決定を記念して連動特典キャンペーンを開催いたします!

    • 連動キャンペーン
    • 開催期間

      2026年4月16日(木)~6月14日(日)

      開催場所

      全国アニメイト(通販を除く)